HISTORY of ORIGINAL ALBUM

1st ALBUM
un-balanced
1995.07.07 RELEASE
 30 年前に出会った一枚のアルバムが、今は自分にとって大切な宝物。
今は日本を代表する歌い手となったアーティスト平井堅。

 1995 年 5 月 13 日デビューシングルがフジテレビ系ドラマ『王様のレストラン』の主題歌「precious junk」、6 月21 日には『VIDEO JAM』オープニングテーマとして「片方ずつのイヤフォン」が 2 ヶ月連続でリリースされ、
この 2 作品が収録されたデビューアルバム『un-balanced』が発売された。
正にこの作品を通して、“平井堅” と言う歌い手と出会った。

 初の札幌キャンペーンでは、背が高く、見上げた時に上からの優しい微笑みが印象的で、“誠実な好青年”を絵に書いたような感じ。人は会った時の第一印象って長い月日の中ではとても大切な事ですネ。
札幌キャンペーン後に頂いたお礼の FAX(時代ですネ)には、とても思い出深い言葉が直筆で書いてありました。
ご本人は忘れていると思うけど、次回、再会した折りには聞いてみたいなぁと思います。
当時は手紙を書くことが好きと話していたので、沢山の方に色々送っていたのでは?と思います。店での展開にも手紙に因んだ企画をさせていただきました。
当時のリリースの流れを見ても、ソニーの期待の大型新人(体型ではなく)。大手事務所所属、売れること間違いなしと誰もがそう思ったに違いないスタート。実際、ユーザーにも好反応だったし順調と実感した場面はいくつかありました。
そんな状況の中、ヒットアルバムになるはずだったが、実際は中々思ったほどの実績ではなかった。
ただその結果こそがとても良かったと思う、なぜなら、歌声、人柄、歌に対する彼の思いが我々に伝わっていてもっともっと世の中に知って欲しい!売れて欲しい!という気持ちから、チーム平井堅ができ、北海道での広がりに繋がっていった。

 1997 年にスタートした AIR-G のレギュラー番組『2 時いろナイトワーク~こんな夜中にごめんね~』をきっかけに北海道での認知度が増し、彼の人柄、音楽性を広く知ってもらう最高の機会になった。
この時代は小室サウンドが世の中を代表し、ミスチル、スピッツが代表曲を作り、洋楽はジャネット・ジャクソン、マイケル・ジャクソン、マライア・キャリー、セリーヌ・ディオンなどがヒット、J-POP、ロック、ポップス、R&B、ソウル。様々な音楽が色濃く売れた時代。
平井堅はアルバム、1996 年 2nd アルバムリリース後、3rd アルバムが 2000 年に発売になるまでの 4 年間、シングルは 1998 年から 2000 年までの 2 年間リリースがなく、とても不安で心配な時期がチームにはあったが、やっぱりいつかは売れる、すばらしい “歌バカ “は大丈夫と信じた時間でもあった。
昔、ヒットは北から南からと言われていたが、時間はかかったが実現できた最後のアーティストかもしれない。
30 年の時が経った今も代表作としてのこの一枚は沢山の方の宝物に違いない。

 『un-balanced』全 11 曲収録。全曲本人が作詞・作曲を手掛け(共作も有り)、まさに名詞代わりの一枚。
1 曲目 “二人の迷路 “ では悲しいラブソングのはずなのに、パワフルな歌い方が気持ちいい。
“ Negative “ “青空” はポップでメロディーの良さがストレートに伝わってくる。
“Precious Junk “ “笑顔” 、”片方ずつのイヤフォン” この 3 曲の並び。タイアップもあってか、耳馴染みもあり、アルバムの中心部としてアルバム全体の方向性を感じさせてくれている。
後半にいくにつれて声と楽器とのコラボ、アレンジがとても楽しい。
“White~僕に会いたい~” は、コーラスチームが曲を盛り上げてくれて歌の上手さがライブ感を演出している、ゴスペル感を感じる。
ラスト “STAR” ピアノとの音合わせがアルバム最後にふさわしいおやすみソング~デビューアルバムにして歌い手としての幅広さを感じさせている。
デビュー作にして名盤。
Text by 石川千鶴子
(ミュージックショップ「音楽処」)